〔063〕槍ヶ岳 (3,180m)

標高差:1,680m

2007年11月03日(当時58歳)


日本百名山に戻る

長野県松本市安曇
1日目、登り:7時間25分
2日目、下り:6時間10分(天狗池往復に+1時間11分)
深田久弥著の「日本百名山」から
私たちがどこかの山へ登って「あ、富士山が見える!」と喜ぶのと同様に「あ、槍が見える!」という
叫び声を聞く。 実際、そのユニークな岩の穂は見紛うことはない。 ひと眼で認め得るのである。
どこから見てもその鋭い三角錐は変わることがない。
Road Map :東海北陸道を清見ICで下りて、上高地へのシャトルバス乗り場である沢渡大橋の駐車場へ向う。
Route Map:上高地を基点に明神〜徳沢〜横尾の長い林道を歩き、槍沢ロッジを経由して同じコースをピストンとする。
上高地 明神 徳沢 新村橋 横尾 槍沢ロッジ ババ平 天狗分岐 播隆窟 槍岳山荘 登頂断念
6:00 6:48 7:30 7:48 8:20 9:51 10:24 11:29 12:45 13:07 13:25
槍岳山荘 播隆窟 天狗分岐 天狗池 天狗分岐 ババ平 槍沢小屋 横尾 新村橋 明神橋 上高地
7:40 8:20 9:04 9:37 10:15 11:00 11:20 12:36 13:22 14:12 15:01
日本百名山』 天気良ければ全ての苦労が報われる。
上高地のバスターミナル
  大阪の繁華街ほどの人込みにビックリしてお土産屋を覗くこともなく慌ててバス停に並ぶが、バスはどんどん来るので待つことなく乗ることが出来た。 バスは補助席まで使う満員であったが、ハイカーはおいら一人だけだった。
シャトルバスから見る紅葉
  釜トンネルを出ると中ノ湯辺りの渓谷で綺麗な紅葉を見ることが出来た。 この時期、黄葉しかない
上高地よりは綺麗な紅葉であり、この後も車で走りながら紅葉、黄葉を堪能することが出来た。
槍への日帰りの可能性
  登り時間は馬場島から ”剱岳”に登るのと変わらず、標高差は ”剱岳”より随分低い。 ”剱岳”と同じく登り返しがないが距離は ”槍ヶ岳”の方が遠い。 問題はシャトルバスに乗る必要がある為に早立ち、遅帰りが出来ないことだ。 よって ”槍ヶ岳”への日帰りは新穂高からなら可能性があるが、標高差は上高地より450mも増え、”剱岳”と変わらなくなってしまう。 俺っていつも縦走のことは考えられずに日帰りのことばかり考えてしまう。 しんどいだけなのにね。
今日の温泉
  安房峠を越えたところにある ”神の湯”は前回、満車で入れなかったので今回は入りたかったが、既に16時を廻っており、帰りが遅くなるので温泉に入らずに帰ることにした。 次回には入ろうと思う。
2日目、下り編
1日目の登り編に戻る
山荘の朝飯は6時からであるが、全員(7名)外に出て6時10分の日の出を待つ。
気温は−5℃、それなりの格好をしておかないと冷えてしまう。 今日は天気が良さそうだ。
雲海で山頂しか見えないが正面左に常念岳、蝶ヶ岳、正面に冠雪した富士山、その右側に
南アルプスが伸びており、甲斐駒ヶ岳、常念岳、北岳と特徴ある山並みが見えている。
日の出は6時10分のはずであるが、雲から顔を出すのに時間が掛かり
6時15分に日の出を迎える。 これで落着いて朝飯を食べられる。
朝日を浴びる ”槍ヶ岳”。 地面はカチコチに凍結していた。
昨日は夕陽を浴びた黒部五郎、三俣蓮華、鷲羽を見たが、
今日は朝日を浴びた姿を見る。
山荘から南面を見るが手前の大喰岳に阻まれて、南岳、北穂高岳は隠れて見えない。
右に笠ヶ岳が顔を出し、その奥には乗鞍岳がどっしりと構えている。
次回、槍に来るときは奥穂からここを縦走することになると思う。
雪面状態が判らないので一番に下山するつもりはなかったが、
誰も出発する様子が無いので一番で下山することになってしまった。
7時40分に下山を始める。
下山途中で見た綺麗なツララ。 まだ小さなサイズであるが、
これから日増しに成長していくのだろう。
さよなら ”槍ヶ岳”、来年、又来るよ! 。
雪面の薄氷をザック、ザックと割りながら下山して行く。
お陽さんが照っているので昨日よりは雪面が緩んでおり歩き易かった。
”天狗分岐”には1時間24分で着く。”天狗池”に行き逆さ槍を見に行くことにする。
”天狗原”への登り途中から槍の下のグリーンバンドと広大なカールを見る。
カールの右端にジグザグの登山道が見えていた。
”天狗池”側に登るに従い積雪が多くなってくるが、
邪魔臭いのでアイゼンを付けずに気を付けながら進む。
京大生は簡単に行けると言っていたが、結構な登り斜面が続いた。
分岐から33分で ”天狗池”に着く。
上から見るとゴミが一杯浮いている様に見えてがっくりした。
”天狗池”まで降りてみると池が凍っており、氷紋がゴミの筋に
見えたのだ。 氷面は荒れており逆さ槍にはなってくれなかった。
小石をぶつけてみるが氷は厚く跳ね返されてしまった。
”天狗原”から ”槍”を見ると、廻りの岩峰が大きく見え、ここから ”槍”を見ると貧弱に見えてしまう。
しかしなんと言う晴天だ、今日、”槍”に入る人は幸せ者だ。 分岐からの ”天狗池”往復は1時間10分だった。
”大曲”を過ぎて ”ババ平”への一番気分良く歩ける登山道を見る。
この辺りの ”槍沢”には沢水は流れていない。
降雨時なら右斜面に滝が現われる様だ。
3時間09分で ”ババ平”に着く。
後に聳えるのは ”赤沢山”(2,670m)の岩峰だ。
”ババ平”で昨日しばし一緒に歩いた横浜からのハイカーがテントの
撤収作業をしていた。 夜の冷え込みが激しく寒くて眠れなかったら
しい。 京大生は持ち金が無いのに山荘に泊って正解だった。 目的の
”天狗池”撮影も今朝に行ったので池が凍っており写真に成らなかったとか。
3時間40分で槍沢ロッジに戻る。 三宅さんに挨拶し、ロッジの
御主人と喋っていると短時間の中で物凄く良い人柄が伝わってきて
次にはここに泊まりたくなってしまった。 ロッジ周辺には気持ちの
良い綺麗な沢が続いている。
4時間06分にて ”二の俣”の橋にに戻る。
いつもは下山時にうんざりするものだが、晴天のせいも
あり昨日とは違う景観を眺めながら楽しく下山出来た。
昨日と同じ沢を見ているのだが、お陽さんが当るだけで
まったく別ものの様に綺麗さが増していた。
昨日、曇天下で見たカラマツの黄葉であるが、晴天下では、
数段綺麗に変身してしていた。 時期的にはちょっと遅い感じ。
”横尾”辺りから昨日はガスの中だった ”奥穂”が望める様になって
くる。 日帰り出来そうな山に見えないが、名古屋の北さんは上高地
からこれを日帰りしている。 北さんは60歳、2歳若い俺にも日帰りの可能性は大いにある。 (新穂高側からは日帰りしているが・・・)
5時間42分にて ”新村橋”に戻り、橋を渡って予定通り右岸の
林道に入る。 ところがこちらは自動車道で車が盛んに行き来するし、
景観も左岸より悪い。 後悔するが次の ”明神橋”までは右岸を歩く。
右岸道路から横に聳える ”明神岳”は樹木が邪魔してまともに
見えるところは殆んど無かった。 これは探して探して僅かに
見える所で撮ったもの。
6時間32分で ”明神橋”を渡って左岸道路に戻る。
するとびっくりする程の観光客が闊歩しており、考えてみれば
今日は土曜日で祭日なのだ。
カラマツの黄葉は多く見られるが、紅葉樹林は時期を
過ぎたのかまったく見られなかった。
右岸より左岸の方が景観が良く、右岸を歩いたのは失敗であった。
結構、落葉していてスカスカにはなっているが、まだ見応えはある。
(飽きてきたけど)
肉眼では ”明神岳”の山頂にハイカーが立っているのが見えた。
山頂から ”上高地”を見れば絶景と思う。 この辺りのピークへも登ってみたいものだ。
7時間15分で ”河童橋”に戻る。 記念撮影をする観光客でごった
返し、シャトルバスにまともに乗れるのか心配になる程の人混みだ。
バスターミナル近くから梓川を挟んで ”穂高連山”を見る。
バイバイ! ”上高地”。
昨日、京大生から情報収集した時には池が凍っているとは一言も言っていなかった。
「あの野郎」と思ったが、途中で会って話しすると、昨日は本当に凍っていなかったと証拠の写真を見せてくれた。 一晩であんなに厚く凍ってしまったんだ。
後日、京大生が送ってくれた写真
朝一番に下山を始めた私目の恐々下る模様。
スケーティングしているのではなく、踏み締めて一歩一歩下っているだけ。
前日、凍結する前の ”天狗池”からの
”逆さ槍”。ウソでは無かったんだ。
やりがたけ
”天狗池”への分岐はこの道標だけが
頼りになる。
橋には敷き板が無いので、綺麗な沢水を見ながら渡ることが出来た。
真夏の沖縄の海の様なコバルトブルーも見られた。
”一の俣”に戻って来る。 この先で登山道は終わり林道となる。
”槍ヶ岳山荘”から見た登山道。
下山路となるカールを見る。 凍結しているであろうから一番には下りたくない。
冬季小屋終い作業は済んでいる様である。
ザックザックとは行かず、雪面の凍結を確認しながらそろりそろりと下って行く。
おいらが下り始めるとぞろぞろと付いて来た。 誰しも先行はしたくなかったのだろう。
ツララは融け始めているので、気温はそこそこ高いのだろう。
約1時間で ”グリーンバンド”に着き、ここでアイゼンを外す。
2023年12月2日改定