標高差:1,325m
累積標高差:2,076m

2014年06月15日(当時65歳)


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長野県飯田市
登り:5時間28分、下り:6時間21分(下りは体調不良となる)
信州山岳ガイドより
  南アルプス最南端部の秀峰である。高さこそ北ア・鹿島槍ヶ岳には及ばないが、北アの秀峰といわれ
る鹿島槍と同じ双耳峰で、最南端部を忘れてもらっては困ると、ひとり存在を誇示しているかのようだ。 双耳峰ながら北峰は飯田市南信濃と静岡県榛原郡川根本町の境にあり、南峰は川根本町内にあるという珍しい山である。 さらに、北峰(2,392m)より16m低い南峰に三角点が置かれている。 山は必ずしも最高点に三角点があるとは限らないが、はっきりと分かれた双耳峰の低いほうにあるのも珍らしい。 長野県の秘境といわれる遠山郷、そこを流れる遠山川の支流池口川の源頭であると同時に、静岡県は秘境寸又峡の上流寸又川の源頭でもあるので、両秘境の源頭という極めて奥深い山である。 明治35年に北峰頂上へ御料林測量の基準点として標石を設置したといわれるが、道のない奥深い山への設置は野営を繰り返しながらも困難なことであったろう。 双耳峰の秀麗さと奥深い静寂さをあわせ持つ山である。
Road Map :中央道を飯田山本ICで下りて、県道1号線を南下して天龍村で折り返してR152を北上する。
Route Map:登山口から山頂を往復するが、南峰への体力はなかった。
日本二百名山』  南アルプスの奥深い山、ロングコースからの展望は少ない。 下山時、疲労から歩けなくなる。
今日の温泉
  帰路、2ヶ所に500円温泉を見つけておいたが、登山口から20分程の
昨日、入浴を見送った ”かぐらの湯”(620円)に飛び込む。
車は入口の前に停め、びっこを引きながら入館する。 汗を流し露天風呂で
長湯していると足は随分と良くなってきた。 温泉が効いた訳ではなく、
暖めたのが功を奏したのだろう。 攣ったままの右足もマッサージしておく。
帰路に着く
  入浴のお蔭で足の状態は随分と良くなった。 こんなに変わるものだろうか?
見た目、普通に歩ける様になった。 車を運転しながら色々考えてしまった。   今日、南峰まで足を伸ばしていればどうなっていたのだろうか?
登山口まで戻れずに遭難騒ぎになっていたかも知れないが、今日、山に入ったのは俺を含めて5名だけ、ビバーグしても次の週の土曜日まで誰も来ないだろう。 こんな体でロングコースを行くのが心配だ。
なんとか直して置かなければ・・・
−− 登山口 面切平 黒薙の頭 ザラ薙平 ロープ場 北 峰 南 峰
登り 4:30 5:18 :28 −−− 9:11 9:58 −−−
下り 16:49 −−− −−− −−− −−− 10:28 −−−

前日の移動
  ガスの富士見台を登頂後は道の駅”遠山郷”に向うが、1時半には着いてしまう。 ここに隣接する
”かぐらの湯”で汗を流す予定であったが、まだ昼過ぎであり温泉に入るには早そうなので、登山口まで行ってみることにする。 悪路の林道を走り、登山口に着いたのは2時過ぎだった。 しばらくは登山口周辺を散策し、温泉には入らずに、ここで車中泊をすることにした。 気温12℃、涼しい風が吹き抜けて車中泊にぴったりの場所であったが、周辺に水場はなかった。 缶チューハイを飲んで16時には
寝てしまう。

168池口岳 (2,392m)
いけくちだけ
コースタイム:12時間19分(標準コースタイム:10時間20分)
登山口のおしゃれな手作り矢印。この標高を信じると、
山頂までは標高差 は 1,332mになる。 ロングコースだ。
避難小屋先にある小さなスペースに車を停めて、
直ぐ先の登山口から4時30分に登り始める。
避難小屋の中は畳張りで登山地図、各種パンフレットが張っ
てあった。 仲間が居れば宴会が出来るスペースがある。
トイレは登山口にあるのがそれが難である。
前日の14日、遠山宅横からの地道に入り、2時過ぎに登山口に着く。登山口から少し林道を歩くと ”避難小屋”があった。
避難小屋の横には車4台程の駐車スペースもある。
登山口にあった手作り登山地図。 GPSの測定では片道9kmあった。
下山して来るハイカーが居たのでインタビューしてみると、
今日はガスガスで展望は得られなかったらしい。
心の中で今日登らなくて良かったと思った。 明日は良い天気だろう。 とつぶやく。
気温11℃、風はなく良い天気。 最初の登りで息が切れて気道が痛い。
風邪でも引いたのか、それとも寝過ぎ?
一登りするとフラットな道となり、ここで息切れを直す。
樹林帯で展望はまったく無いが、登山道ははっきりして
おり、下草がないので雰囲気は悪くない。
48分にて ”面切平”の標識に着く。 ここまでもフラット
であったし、ここからもしばらくはフラットな樹林帯が続く。
スカスカの針葉樹林帯であり、まったく同じ風景が続く。
単調な同じ景観が続く。
針葉樹林帯からブナの広葉樹が混じる様になる。
緩やかな下りに入る。 下山時の登り返しが心配だ。
登山道がはっきりしているだけでも、精神的に随分
楽になれる。 道標は無いが、今の所、道間違いの
心配はなさそうだ。
樹間から展望があってもこの程度。
どこの山を見ているのかは全然判らない。
ここまで緩やかに登る斜面だけで、
きつい登りはまったくなかった。
変化がまったく無いので、時間との戦いだけになって
いる。 因みにハイカーはまったく見掛けない。
1時間48分にて、これまでと雰囲気が変わって広いササ原に出る。
ササの背丈が極端に低く、草原に見える。
水はないが、ここでのキャンプは気持ち良さそうだ。
尾根筋に着くと、そこは崩壊中の薙だった。ここで始めて展望が開ける。
薙(なぎ):山の一部が崩れて、横に切りはらったようになっている所。
明るい尾根筋に向けて登って行く。
これまで見た崩壊帯としては大きい方であるが、大山の馬ノ背はこれが両側であり、
片側は樹林帯のここはまったく恐さを感じなかった。
晴天下の中 ”池口岳”に初めましての御挨拶をすることが出来た。
この時点では ”南峰”まで軽く行ける様に思えたが・・・
この薙が遥か下の池口川まで続いている。
滑落すると、決して登れる斜面ではない。
”池口岳”が見えて喜んでいたが、考えてみれば
あそこまで行かなければならないのだ。 先は長そうだ。
樹林帯に戻り、長い登りを消化して行く。
薙が終る地点に ”黒薙”(1,838m)の表示があった。
ここが ”黒薙の頭”なのか?
表示が無いのではっきりしないが、ここが ”ザラ薙平”なのか。
展望は良いが ”池口岳”はもっと左の方に隠れてしまった。
6回目の急登に差し掛かる。
ここまで急な登りが無いのが逆に退屈であった。
2時間54分にて ”ヤセ尾根”に入る。
雰囲気が変わり、変化があるだけでも嬉しかった。
6回目を登り切るとシダが美しい平地に出た。
このシダ原はしばらく続いた。
3時間15分の地点に、この山では珍し
い道標があったが、方向表示だけで、
地点名の表示はなかった。
”池口岳”が近付いて来た。
見えているのは ”北峰”(2,392m)で ”南峰”(2,367m)は後ろに控えている。
取り合えず、今日の天気に感謝。 昨日の富士見台のガスはチャラにして上げる。
昨日のハイカーはこの展望が見れなかったのが御気の毒である。
崩壊帯の縁を歩くが、危なさは感じなかった。
ロープ場を過ぎると、ここにも小さい ””があった。
木の根っ子を階段代わりに登って行く。
7回目の急登に差し掛かる。 元気印のジジーが下り
て来た。 同じく車中泊していたジジーが4時10分
に出発していたのだ。 それにしても早い歩きだ。
一面の ”イワカガミ”のお花畑があった。 昨日、下山して来た
北海道出身のハイカーは ”イワカガミ”が北海道にはほとんどなく、
”イワカガミ”を見てえらく感動したらしい。 本州のハイカーで
”イワカガミ”を見て感動する人は居ないだろう。
2,156mピーク”に立つ。 山頂まで標高差的には後少しであるが、
ここから大きく下って行く。
大きな木の根っ子があり、ここもロープに頼りることなく
下ることが出来た。 これらは変化があり面白かった。
二つ目のロープ場が出てきたが、こちらも下り方向だ。
全行程中、この辺りが一番斜度がきつかった。
8回目の急登に差し掛かる。 ここは長く辛かった。
ササ原となり、山頂が近付いた雰囲気となる。
”聖岳”を含めた南アルプスの山が見え出した。
Vキレットからの眺め。
見えている山の同定はまったく出来ていない。
一人ぼっちの山頂でアンパンを食べて休憩する。
樹木が茂り展望の無い山頂が残念だった。
5時間28分にて”池口岳北峰”(2,392m)に着く。
山頂はピーク感がなく、展望もほとんどない。
それよりがっくりきたのがコースタイムであり、栃木の山友より
1時間も長く掛かっているのだ。 1時間の差はショックだった。
まだ10時06分、”南峰”まで行こうと決意し、”北峰”を下り始めると、その先の
鞍部までの標高差、”南峰”への登り、そして ”南峰”からの下りと ”北峰”への
登り返しを考えると、今日の体調では無理かと思い、途中で断念することにした。
この判断が功を奏することになる。
(下山時の体調不良で往復1時間半、行かなかったのが正解となった。)
”南峰”の登頂を断念して ”北峰”に登り返すだけでも息が切れて、
”南峰”断念を正解だったと思い、後悔はしなくなった。
当初は予定通りに ”南峰”に行こうと ”北峰”を下り始めたが、
鞍部への標高差が余りにもあるので、断念した。
これは双耳峰では無く、完全に別の山に思えた。
登って悪し見て悪しの ”光岳”(2,591m)の ”てかり石”が
良く見えたが、意外にてかっていないのに更にがっかり。
因みに光岳に登った時には ”てかり石”を見ていない。
登って来た尾根であるが、ピストンなので下山時もこれを通ること
になる。 各所の ”薙”の崩壊帯が尾根から谷へ伸びているのが良く判る。
この大岩は登り時には大した大きさに見えなかったが、
下り時に見ると大きく聳えていた。 大岩へは登ることなく
左側を迂回して廻り込むだけ。
 
樹林の向こうに南アルプスの主峰が聳えているのは判るのであるが、
全体をバッチリと見える場所がない。 良い所を探してこの程度の
展望しか得られなかった。
小さな ”薙”に戻って来る。
展望を得られる場所を探しているとピンポイントで良い所があった。
個人的予測の同定になるが、正面が主峰の ”赤石岳”(3,120m)で
聖岳”(3,013m)は樹木に隠れて見えていない。
”黒薙”から ”池口岳”にお別れする。
ここから先は山への展望が無くなってしまうのだ。
下山2時間40分にて ”黒薙”(1,838m)に戻る。
下り4時間50分、とっくに登山口に戻っている時間ではあるが、
登り時に見付けることが出来なかった ”山の神”を見付けることが
出来た。 岩の下にひっそりとあり、少し登山道を変えると見付ける
ことが出来ない。 ここで写真を撮ろうとして二度も後に転び、中々
起き上がることが出来なかった。
登山道を見失えば迷子になってしまう平坦地、やばいと思った時には
引返して赤テープを探す様に努める。 満足に歩けないので、後から
登って来たハイカーに抜かれて行く。 それも俺より年上に見える連中
ばかりだ。 どうしましたか? と声を掛けられるが、おんぶして下さいと言える訳もなく、体調不良だけで大丈夫です。 と言って見送る。
標高差残り300m位から足は完全に前に進まなくなる。
口でどんな状態か言えないし、本人もどんな状態に陥っているのか
判らない。 足が硬直してよちよち歩きしか出来ないのだ。 このまま
では日が暮れて遭難してしまうと思った程に歩けない。 下山に1時間半ほど余分に掛かっただろうか? 登山口が見えた時は ”助かった!
”と思ったが、最後の階段で2回、後に転ぶ。 滑って転ぶのではなく、バランスが取れなくて転ぶのだ。 下山は6時間21分で終えるが、
車の運転が心配だった。
車の運転はなんとか出来たが、右の足裏とふくらはぎが攣ったままの
状態で運転する。 池口岳を切り開いた遠山家のオヤジは亡くなり、
今は遠山家も山を降りているらしい。 登山届けポストは誰が管理しているのだろうか?
体調不良となる。
  黒薙を過ぎた辺りから足の動きが悪くなってくる。 別段疲れている訳ではないが、神奈川の大山、
岡山森林公園、那岐山で経験した体が後に引張られる症状が出てきた。 その対策として今日は朝から
ポカリを充分飲んでいるのだが、対策にはならなかった。足が思う様に動かない、座ると後に転ぶ
症状は下山するに従い徐々に悪くなって行く。 最後には足が動かなくなってしまった。
道の駅 ”遠山郷”に隣接する ”かぐらの湯”。
露天風呂からは裏山が望めた。 ここで温泉治療?する。
2024年3月23日改定