〔090〕大台ヶ原 (1,695m)
標高差:1,018m
累積標高差:2,315m
奈良県吉野郡上北山村
Road Map :R169を県道40号線、大台ヶ原ドライブウエイに入り、終点のビジターセンターまで走らせる。
Route Map:ビジターセンター横の登山口から日出ヶ岳へ登り、崩壊帯まで下ってから引返す。
ウィキペディアから
大台ヶ原は日本では希な非火山性の隆起準平原であるとされているが、一方で、今から1500万年前に巨大噴火が起こり、大台カルデラが形成されていたとする説もある。
西部と南部は激しい谷頭浸食に
よって標高差1,000mの深い谷筋が形成され、硬い岩石で構成された地質が鋭く切り立った地形を作り
上げている。 南東方面は熊野灘に面するリアス式海岸で、大台ヶ原は海岸線からの急峻な斜面の頭頂
部にある。
大杉谷
今日の大杉谷ピストンは企画の大失敗であった。 下ってから登り返す辛さは ”景鶴山”で
経験しており、それを忘れた訳ではないが、今回は痛く ”景鶴山”を思い出した。
今回のスタイルは宮川貯水池から ”七ツ釜滝”を往復した時から残りの滝は日出ヶ岳から
往復して見ることを決めていた。 これで登山道から見ることが出来る滝は全て見たのであるが、
今回は登り返しの辛さを想像しながらの滝巡りであったので、前回の様な楽しさが無かった。
大杉谷の滝巡りでのお勧めは公共交通機関を使って大台ヶ原からスタートして宮川貯水池まで下りだけで終えることだ。 体力のあるハイカーなら途中で小屋に泊ることなく一日で下山出来ると思う。
交通渋滞、停滞
往路も阪神高速道で事故渋滞があり、帰路でも大台ヶ原ドライブウエイから国道に出る手前の事故停滞で始まり、阪神高速道でも事故停滞に合ってしまい、帰りが遅くなってしまった。
今日はメガネ紛失事件に始まりロクなことが無かった。
日本三大渓谷 大杉谷
←GPS電波の乱れあり
おおだいがはら
今回は日本百名山の大台ヶ原ではなく ”大杉谷”を歩くことである。今年('15年06月)に宮川貯水池
から日本の滝百選の ”七ツ釜滝”までを歩いている。 今回はその残り半分を日出ヶ岳から下って
大杉谷の光滝まで行くことである。 登山道から見ることが出来る滝を愛でて大杉谷を一本の線で繋ごうと言うものである。
登山口〜日出ヶ岳 登り:37分、日出ヶ岳〜大杉谷崩壊帯 下り:3時間40分
大杉谷崩壊帯〜日出ヶ岳 登り:4時間37分、日出ヶ岳〜登山口 下り:35分
コースタイム:9時59分(休憩時間、無駄時間含む)
前日の行動
天気予報と相談して日曜日は天気が良いことを確認。15時に自宅を出発して阪神高速を走る。
大台ヶ原の駐車場まで行くと標高が高くて冷え込むのでR169沿いの道の駅”杉の湯”で車中泊とする。 翌日は早朝5時に車を走らせ、大台ヶ原に向うが、200台停められる駐車場は既に満車状態だった。
大台ヶ原の駐車場から ”日出ヶ岳”までの登山道を歩くのは4回目。 季節がら今日は紅葉は見られるのか?
ビジターセンター横の登山口を5時46分に出発。 朝の気温は8℃
道の駅では14℃だったので道の駅での車中泊は正解だった。
薄暗いので紅葉なのか枯葉なのか判らない。
シカ君の餌食となり綺麗に刈り揃ったササ原が広がる。
カメラのストロボが要らない程に明るくなって来た。
多くのハイカーに抜かれて行く。
お陽さんは既に結構高くなってしまっている。
構わずにバシバシ撮っている人が多い。
”展望所”に着くと、日の出を撮りに来たアマチュアカメラマンで
一杯だった。 一億総カメラマン時代と言われてもう長く経つが、
今ではそこにスマホ組も加わっている。
階段道の上り途中から見た ”大峰山脈”と赤く染まった紅葉が望めた。
”展望所”から ”日出ヶ岳”に続く階段道を登る。
駐車場から37分にて ”日出ヶ岳”(1,695m)に着く。
朝6時30分の山頂と思えない程にハイカーが沢山来ていた。
展望台に上がり一億総カメラマンの仲間に入る。
しぶとく日の出を撮っているカメラマン達。
展望台から ”大杉谷”へ続く登山道の入口を見る。
”大杉谷”に向かうハイカーの姿は見掛けなかった。
今日は行く予定は無いが、展望台から ”正木嶺”を見る。
既に ”正木嶺”に向かっているハイカーも多かった。
展望台にあった鳥瞰写真から実際に見た ”大峰山脈”の山々を同定してみた。
登ったことのある山のみ山名を列記している。
この中で登っていないのは4つの山だけだと思う。
心配することはなかった。 登山道は遊歩道的に偽木で階段が
整備されていた。 急な下りに登り返しの事が心配になって来る。
6時28分に ”大杉谷”への登山道に入る。 わんさか居た
ハイカー、観光客でこの道に入ろうとする者は皆無だった。
通行禁止の表示は無いので ”七ツ釜滝”まで行けるのだろう。
道標によるとやっと880m歩いて来たことになる。 登山口とは宮川
貯水池のことだと思う。 13kmなら片道は歩けるが往復は無理だろう。
急な長い階段道を下り終えるとフラットな道となる。
周辺はシャクナゲが生えているが当然、この季節は何も咲いていない。
同じ場所から ”大杉谷”の上流部を見るが、
樹木で覆われて沢は見えなかった。
展望のまったく無い樹林帯の中であるが、1ヶ所だけ ”日出ヶ岳”が
見える場所があった。 これが1kmの距離なのか。
もっと遠くに見えてしまった。
しっかりしたくさりが張ってあったが、
ここはカニの横ばい的なくさり場だった。
中々の険しい道が続く。 数時間後にはここを登らな
ければならないのかと思うと下りながら気が重い。
しばし、歩きながら休憩出来るフラットな道となる。
”シャクナゲ平”からここまで激しく下り、
”シャクナゲ坂”に向って行く。
尾根筋の道からトラバース路に入って行く。
モミジの落葉を踏み締めてトラバース路を下って行く。
日本百名山と言う峠を越えて2時間10分にて ”堂倉避難小屋”に
着く。 外観は綺麗な小屋であるが、水場はあるのか?
小屋の中は2段ベッドとなっており綺麗に掃除は行き届いていた。
ソーラパネルからバッテリーに充電している様だ。
”堂倉避難小屋”からひと下りすると広い綺麗な林道に出た。
林道に下りると ”粟谷小屋”からの発電機の音がよく聞こえた。
林の下なので小屋の姿は見えなかった。
林道を少し歩くと登山道に入って行く。
再び激下りが始まる。
沢音が聞こえ始め、沢に向けてガンガン下って行く。
3時間05分にて ”堂倉滝”に着く。 ここまでは可也の急斜面だった。帰路へはどんな斜面を登るのか判っているので、精神的にはつらい。
”堂倉滝”では登りのハイカーが休憩していた。 ここまでも数組の
ハイカーとすれ違っているが、殆んどのハイカーが
”桃の木山の家”出発の登りのハイカーばかりだった。
”日出ヶ岳”からの下りのハイカーには出会わなかった。
滝壺が見事なコバルトブルーの ”堂倉滝”(落差18m)。
落差は少ないが水量があり結構見応えがあった。
”堂倉滝”から直ぐ近くの ”堂倉吊橋”を渡る。
今出発しようとしていたハイカーにシャッターを押して貰う。
俺は下りだけで弱り切っている。 立っているのがやっと?
この辺りは大人しい渓谷だった。
”堂倉吊橋”から渓谷を見るが、お陽さんが射していなくて冴えない景観に。
岩壁を掘り込まれた登山道をくさり頼りに通って行く。
凄い道を作ったものだ。
左写真のズームアップ。 路面の岩が滑り易いのでくさりに
頼るのは必須。くさりは上下二段に張られていた。
もっと覗いて見たいが、これ位が限度。
荒々しい渓谷が見えるのであるがビューポイントが無い。
無理に近付くのは危険を伴うので1歩下がって写真を撮る。
”与八郎滝”に着く。
本流とは別の流れからの ”与八郎滝”(落差100m)は二条の滝となって
流れ落ちてくる。 どこからも樹木が邪魔して全体像が上手く撮れなかった。
”隠滝吊橋”を渡る。 ”隠滝”は樹木で滝名通りに
隠れており、吊橋の上からでないと全体像が
見られない。
”隠滝吊橋”の上から見た渓谷、先は滝口になって
いる様だ。 この滝は見ることが出来なかった。
吊橋の上からしか見ることが出来なかった ”隠滝”(落差15m)
滝壺に陽が挿していないのが残念だった。
大杉谷の下流側を見渡せる展望地があった。
大杉谷を長らく通行止めとしていた ”崩壊帯”が確認出来た。
眼下に大杉谷の見事な渓谷が見えていたが、
ここも危なくて渓谷を覗き込むことは出来なかった。
岩壁に掘られた道を下って行く。
こんな道が多く岩壁によりGPSの電波が受信出来ていないだろう。
この辺りも岩盤の崖を削られた道となっていた。
4時間を要して最終目的地 ”光滝”(落差40m)に着く。
残念ながら滝には陽光が射していなかった。
復路では上部だけに陽光が射す光滝を見ることが出来た。
前回は宮川貯水池から ”七ツ釜滝”までを、今回は日出ヶ岳から ”光滝”までを見たので、これで大杉谷の登山道から見ることが出来る滝は全て完了したことになる。
このまま ”七ツ釜滝”まで行けば線が繋がることになるのであるが、行き40分、帰り40分の加算は日が暮れてしまいそうなので、崩壊帯まで足を伸ばして復路の登りに入ることにした。
崩れ落ちて来た巨石の間に登山道が設定されていた。
と言ってもマーキングがされているだけだった。
伏流で完全に沢水が消えた広い河原に下り立つ。
崩壊後の登山道は崩壊帯の真ん中辺りを通っていた。
赤ペンキを頼りに進んで行き、崩壊帯の見学だけなので
一番高い箇所でそれ以上行くのは中止する。
広い河原に引返しお昼休憩とする。
崩壊帯登山道の一番高い所から ”大杉谷”の下流部を見る。 ここで引返すのは後ろ髪を
引かれるが、七ツ釜滝までは片道40分、往復80分で時間も体力も完全に不足してしまう。
ここで引返しは已む無しか。
お昼休憩とした沢から崩壊帯の全体を振り返り見る。
何故、崩壊帯の中ほどに登山道が設定されたのか?
河原を歩く方が随分楽だと思うのだが・・・
ここまで下って来ただけで疲れているので帰路の登り返しに気が重い。
大量の沢水が伏流水となって消えて行く地点。
陽が当ると見事なコバルトブルーを見せてくれる沢水。
10時25分、さあ、これから標高差 1,100mの山登りが始まる。
相棒はまだまだ元気であるが、俺は下りだけでヘロヘロになっている。
下って来た道を登り返して行くのは精神的にしんどい感じがする。
帰路の道で新しい発見があれば良いが・・・
渓谷の奥には滝が見えていたが、これは無名滝だったと思う。
沢水は陽が射さなくても綺麗だが、陽の射した沢を見たかった。
登り返し 1時間10分にて ”堂倉滝”に戻る。
ここから試練の急登りが始まるのを知っているだけに辛い思いだ。
登りで足の筋肉を使うと強打した右のケツが痛む。
相棒は元気良く登って行くので我慢して付いて行く。
数時間前に下って来た急斜面を登り返す。
この急登は1時間以上に渡って続く。
”栗谷小屋”からの道に入ってみたが、本線とは違い、道は荒れて
不明瞭であり踏み跡を探しながらの登りとなる。
ここは下りに使った方が良いかも知れない。
2時間19分に林道に戻りヤレヤレであるが、この先にも急登が
あることを知っているだけに気が重い。 登りは相棒お勧めの
”粟谷小屋”方向への道で登ることにしたが、粟谷小屋は少し離れて
いるので、これ以上は距離を増やしたくないので寄り道はしなかった。
辛い登りには何の期待も無いので消化ゲームだけで
ある。 俺の遅れが目立って来るが休憩せずに付いて
行く。
2時間54分にて本線との分岐に戻り、急登をこなす。
今年の紅葉はどの山でも早くて、大台ヶ原では既に終盤となっていた。
紅葉の落葉を踏み締めながら、淡々と登って行く。
お見事! とまでは言えないがそれなりの紅葉はあったがエリアは狭い。
更なる急登に差し掛かる。 遅いながらも足は動いてくれている
ので休憩しないことで時間稼ぎとする。
この ”日出ヶ岳まで880m”の道標はよく覚えている。 しばらくは
平坦な道であるが、その先からは最後の急登り、地獄の階段道が始まるのだ。
急登になれば成る程、右のケツに痛みが走る。
ここを登り切れば ”シャクナゲ平”の楽な道になる。
真綿で首を絞める様な階段道が続く。
登り4時間18分にて地獄の階段道が始まる。
これが ”日出ヶ岳”の山頂まで続いているのだ。
たおやかな山頂が見えて来た。 後ひとふんばりだ。
登り続けること4時間37分にて ”日出ヶ岳”に戻る。
本日2回目の日本百名山 ”日出ヶ岳”登頂となる。
まだ終った訳では無いが、登山が終わった様な安堵に包まれた。
”日出ヶ岳”の山頂で少し展望を楽しんでから下山に入る。
この時間になっても息を切らせて観光客が登って来る。
日本百名山にスニーカーで登れる山は数少ない。
全行程9時間59分、引返し5時間20分で ”大杉谷”を終える。
早朝6時には完全に満車状態であったが、この時間では少し空が見ら
れる。 帰路に見たドライブウエイには可也の下の方まで車が停めら
れていたので、朝から昼過ぎまでは満車状態が続いていたのだろう。
我が駐車地は駐車場には入れなかったが、ビジターセンターと
トイレの間の好位置で静かな分、儲けたの感じだった。
アクシデント
崩壊帯へ下っていた時から感じていた事であるが、体が後に引張られる傾向があった。 崖っぷちの道で30cm程の段差を上がった時にバランスを失い坂の下に背中から倒れてしまった。 お尻を岩で強打、
背中はザックで助けられたが、勢いが付いて倒れたので帽子とメガネが飛ばされてしまった。 帽子はササに引っ掛かっており直ぐに見付ったがメガネが見付らない。
自分ではメガネが無いのでメガネを探せないので相棒を呼んで20分程探して貰うが見付らず、崖の下に飛んでしまった可能性がある。 後に転ぶ方向が60cm程崖寄りならメガネと一緒に谷底に転落していたかも知れない。
ジジーが何でも無い所で転落死するのはこう言うことかと良く判った。 メガネは失ったものの体は何とか無事だった。
大杉谷の登山道は2004年9月の台風21号により壊滅的な被害を受け、10年間登山道は
立入禁止となっていたが、2014年4月に全面復旧、一般ハイカーが歩ける様になった。
多くのハイカーが下って来るが、全てのハイカーが小屋泊りで明日は宮川貯水池へ
下山すると言う。 一日でピストンするバカなハイカーは一人も居なかった。
「 堂倉滝 」
大杉谷 ”隠滝”の表示板あり。
崩壊帯は沢まで達していない様であるが、何故沢を通れないのか?
そこまでは調べずに崩壊帯に入ってしまった。
渓谷の崖を削り作られた道を戻って行く。
吊橋に戻る。
早朝は薄暗く紅葉は終っていると思ったが、結構、紅葉が見られた。
山頂に戻ったのは15時過ぎであるが、山頂にはハイカー、観光客で一杯だった。
”大峰山系”も良く見えているが、”大峰山系”には
特筆したピークを持つ山が無いので同定がやり難い。
2024年1月7日改定台