兵庫県宍粟市波賀町音水

2019年09月25


日本の滝に戻る

Road Map :R29から音水集落に向かう。
Route Map:音水集落の林道入口から滝までを往復する。
近畿エリアの滝』  林道の崖崩れにより車が入れなくなり、本当の幻の滝になってしまった。
幻の滝となった中音水大滝
  訪れる人が少なく、以前から幻の滝の別名があったらしいが、林道の崖崩れが進み、増々、行き難い滝となったので 幻の滝は本物になった様な気がする。
もしトロッコ軌道が残っていれば
  明延鉱山跡の一円電車の様に、もしトロッコ軌道が残っていれば、トロッコで滝見観光が出来る観光名勝になっていたかも知れない。
本日の滝巡り
 明神滝 → 中音水大滝 → 明神滝
中音水大滝 (落差70m)
  兵庫県の滝をネット検索していると音水集落から伸びる
林道の先に中音水大滝(仮称)なるものがあると出て来た。
しかし、そこに至る林道が荒れており、林道終点まで行く
にはタイヤのバーストの心配があることが書かれていた。   しかし、音水集落で地元民に林道の様子を聞いてみると、林道入口で崖崩れがあり、車では走れないと言う。
林道が車で走行出来ないのなら相当な距離の林道歩きになってしまうので、止めようかと思ったが、2年前には林道を車で走り、滝見している方が居られるので本当に林道が崖崩れしているのか、確認の為に歩いてみることにした。
なかおんずいおおたき
兵庫県の幻の滝
往路:3時間08分(訳あり時間)
復路:2時間40分
GPSの軌跡は谷間で電波が大きく乱れてしまったので手書きとした。 林道終点の位置は目安である。
音水集落内あるバス回転エリアの横からから林道が始まっていた。 地元民に林道の様子を聞いてみると、
林道を入って直ぐに崖崩れがあり、車はもう走れないと言う。 ならば林道を歩いて行くしかないか。
8時17分、林道入口に車を停めて、林道に入る。
1つ目の崖崩れから直ぐに2つ目の崖崩れが止めを刺していた。
林道に入って直ぐの所で崖崩れあり。 これでは車は入れない。
仮称 ”割れ目岩”の横には唯一のカーブミラーが立っていた。
崖崩れだけなく、樹木崩れも林道を塞いでいた。
雑草が茂る林道となり、この雑草の中に鋭い角を持つ落石が隠れている。
古くからある様に見えた3つ目の崖崩れ帯。 2年前には車が通れたとは思えない。
一面、落石だれけで車が走れる状態ではない。 この林道は林道跡になったのも同然である。
林道終点に立っていた意味の無さそうな標柱。
中音水川から ”中音水大滝”の滝名が生まれたのか?
48分歩いて林道の終点に着く。 2年前にはここまで車で来ることが
出来たらしいので、今は往復で1時間36分の負担が増えたことになる。
この先には登山道は無く、踏み跡らしい所を追って行く。
林道終点から藪扱きで高巻きして行くと踏み跡が無くなり沢までの崖下りとなる。
ズリ落ちてしまいそうなので、止めて引き返そうかと思った瞬間であった。
どこかに正しい道(踏み跡)があって、それならもっと簡単に下れたのかも知れない。
進んで行くと林道跡なのがはっきりして来た。
沢近くまで下って行くと林道跡の様な踏み跡に出られた。
深い沢に架かる鉄橋が出て来たが、鉄橋を覆うものは何も無く、剥き出しであった。
鉄橋の下にはロープが渡されていたがゆるゆるであった。 鉄橋を渡れなくはないのだが、万が一を考えると
ロープで迂回した方が安全ではある。 ロープがしっかり張られることを確認して、沢に下りて、又、上る。
綺麗な流れの砂防堰堤が出て来た。 堰堤の上流には砂が溜まり、
平らな公園広場の様になっていた。
次に出て来た橋は表面の材木は朽ちているが基礎はコンクリートの様であった。
ここは楽々、渡ることが出来た。
林道跡と沢とが徐々に近づいて来る。
沢水の透明度は高く、小さな滝は数多くあった。
小さな無名滝を見る為に沢沿いを歩いてみる。
この鉄橋も歩いて渡りたくないし、周辺は深い沢なので渡渉もしたくなかった。
沢の分岐点となる目印である3つ目の橋に着いた。 ここからは右岸、左岸に
道があるらしく、橋を渡りたくないので、左岸(手前)の道を選ぶ。
分岐からは左岸だけを歩くことが出来ず、沢沿いに歩き、度々、渡渉することになる。
この渓谷では ”中音水大滝”以外は全てが無名滝である。
今日の水量では探せば渡渉出来る所を見付けることが出来た。
この渓谷には道標はおろか、ナビテープの1本も見掛けなかった。 全ては自己判断で遡上して行く。
シカの親子が駆け回っていたが、渓流沿いにはヒルは居なかった。
沢を歩くことが多いので、足取りはかなり遅いと思われる。
薮扱きが無いのは助かるが、道が無いので難儀する所も出て来る。
滝名を付けるなら、仲の悪い ”夫婦滝”か。
いつもの様に、自位置が判らず、目的地までの予測がまったく立たない。
6段で連なる渓流瀑が見られた。 これが名無しとは勿体ない。
大した滝でも無いのにアングルを変えて3枚も写真を撮っていた。
この周辺には昔、トロッコ軌道があったらしく、
コンクリート製の橋の残骸も見られた。
側面から見た大したことの無い滝。
大したことは無い滝、その2。
これは比較的に大きな滝だった。 この辺りから高巻きに入りだしている。
ぐるりと高巻きして、沢に戻ることが出来た。 滑落しなくて良かった!
ここでコースミスからのアクシデントとなる。 沢沿いに歩けなくなり、少し高巻きをすると、斜面が急でグリップが無く、下ることが出来なくなり、どんどん登ってしまった。 自ら招いた恐怖の高巻きで随分と時間を食ってしまった。
写真では大した斜面にしか見えないが、立ってられない程の急斜面です。
次の沢の分岐点に着き、右俣を見ると、目標の ”中音水大滝”が見えていた。
”中音水大滝”の滝壺から下段部を見る。
普段は水量が少ないらしいが、台風17号のお蔭で水量は充分あった。
3時間08分にて落差70mの多段瀑である ”中音水大滝”の滝壺に着く。雛壇の滝となっているので段瀑には間違いないが何段の滝なのか判らない。
この ”中音水大滝”の上流には ”F1”から ”F4”の4つの滝が連なってあることはネットを見て知っているのだが、
登りは良いとしても下りが危ないのではと考える様になり、折角、ここまで来たのに、ここで引返すことにした。
途中で諦めるのは初めてのことであり、体力的に弱くなっているが、それ以上に精神的に弱くなっているのだ。
”大滝”から下流側のナメを見る。 途中断念は自分の自己防衛で決めたことであり悔いはない。
本来、この標識を目印として右俣に入るものであったが、
これを見付けなくても上手く右俣に入れて良かったと思う。
復路に入って、沢の分岐の目印となる ”揖保川源流”の標識を見付けた。
取り得の無い小さな滝。
滝姿は綺麗であるが、落差4m程の小さな滝。
しっかりとした石積みが残っており、林道跡と判る道もあるが、大半は崩壊して姿を消している。
ここは林道跡の石橋が完全に崩壊しており、枝沢を渡渉することになる。
往路で見た滝を復路でも見ながら引き返して行く。
往路とは違うアングルから同じ滝を眺める。
日差しは良くなって来たが、コバルトブルーにはなってくれなかった。
復路、1時間11分で最初の沢分岐の鉄橋に戻る。 この橋を渡りたくないので左岸側を選んで歩いて来た。
2つ目のコンクリート橋に戻る。 先に恐怖の鉄橋が見えている。
鉄橋の片側の巾は靴巾より広いのでバランス感覚のある人は渡るんだろうなー。
復路では鉄橋を渡ろうと思っていたが、いざ、鉄橋の前に立つと怖くて渡れない。往路と同じく、ロープ頼りに沢まで下りて、上り返す。
古い倒木であるが、跨いだり、潜ったりで問題無く通過は出来た。
何をどう間違えたのか、復路では林道終点の高巻きを通っていない。
結果として幸いであるが、GPSの軌跡データは乱れており、原因が判らなかった。
スズメハチの巣がありそうな崖っぷち。
こんな崖を切り取って林道を作ったのだから、
落石があるのは当たり前だろう。
林道を振り返り見る。 天気は最高に良く、涼しい風が吹き抜ける。
復路2時間40分、往復5時間53分にて林道入口に停めていた車に戻る。
林道入口から2ヶ所目の崖崩れを見る。
幻の滝
  日本各地に ”幻の滝”の別名を持った滝は多々あるが、多くの ”幻の滝”が昔は到達が困難だった。 山深い所にある。 程度の理由で ”幻の滝”の別名が付いている様である。 ”中音水大滝”も行程が長いので、一部の滝マニアから ”幻の滝”と呼ばれている様であるが、ここ2年間の崖崩れで、車では林道を走れななくなり、本当に ”幻の滝”となってしまった。